パイロット ボーテックス / パイロットの携帯型万年筆の進化 その2
パイロットのショートボディの万年筆
【VORTEX(ボーテックス)】
ペン先はステンレス製
字幅は F と M から選択できる。
キャップがスケルトンのショートボディ
ブラック(グレー?)、グリーン、ブルー、レッドの4色展開
私は小型の万年筆は好きだが、キャップがスケルトンで、回転スクリュー式というのは、これと カヴェコ くらいしか思い浮かばない。
ある意味貴重品だ。
グリップにラバーを巻いているあたりは、コアな万年筆マニアには敬遠されそう。
(でも、一部の○○マニアより、一般的ユーザーの方がシェアは多い。パイロットは 大人だ。)
私は ラバーグリップは好きではないが、最大の理由は、
仕事中は 胸ポケットに手帳と筆記具を収めるので、ラバーが引っかかって使いづらい事この上ないからであります。
この首軸に巻かれたラバーは、普段はキャップの中に収まっているので、無駄なブレーキとならず、また 劣化も少ない。
この万年筆のペン先とペン芯をあらためて見ていたら、【バーディー】と同じモノである事に気付いた。
絶版となってしまった【バーディー】は進化して生きていたのだ。(←と 勝手に妄想する。)
この価格で、ペン芯に カスタムシリーズと同じ【チップフィルペン芯】が驕られているらしい。
さすがに2重ペン芯構造ではないだろうが。
パイロットのチップフィルペン芯は、インクに染まる(ように見える)。
インクを保持する役割を持つペン芯の素材は、現代ではほとんどが樹脂製いわゆるプラスチック製である。
ペン芯に充分なインクをいかに留めておくか に各社のノウハウが見え隠れする。
パイロットのチップフィルペン芯は、新品の時には白い粉がふいたように見える。
ひとたびインクを通すと、黒い(というより ダークグレーにみえる)ペン芯がインクの色に染まって見える。
まるで 無機質なプラスチックを有機物に変える事に成功したかのようだ。いや ひょっとしてある意味成功しているかもしれない。
このペン芯でパイロットのサラサラのインクを潤沢に保持しつつ、必要な分をペン先に送り出す。
ちなみにボールペンもラインナップしている【ボーテックス】の、万年筆のペン先は スケルトンのキャップを閉じた状態で、クリップの左側(=向かって右側)90度のところに必ず顔の正面を覗かせている。
どれも必ずその位置である。
パイロット コーポレーション。やる事が細かい。
店頭のボーテックス展示専用ボックスに立てられて整然と並んでいるその姿は、ボーテックス自身が与えられた近未来的なデザイン(当時)と相まって、さながら整然と並ぶロボット軍団のようである。
その写真を公開できないのが残念。
ところで 私の知人に、ペリカンのスーベレーンM1000(あえてのブラック。しかも森山スぺシャルのハズである。)を無造作に あくまで一見無造作に 鞄に放り込む強者がいるが、私には到底できそうにない。
彼は、ほとんどの人がボールペンで書く書類に、M1000のペン先はBかBBくらいなのだろう ペン先をひっくり返してのウラ書きでサラサラと書き込んで、キャップにペン先を投げ入れた時の M1000 独特の『カポッ』という音で締めくくる。
愛し方も人それぞれだが、私にはそのような豪快な所作(?)は到底真似できそうにない。
この ボーテックス は、そんな私でも無造作に鞄に放り込める。クリアのアクリル樹脂は丈夫でキズに強い。
ジーンズのポケットにも放り込める 私にとって唯一の万年筆である。
手軽な万年筆というのも良いものだ。
ちなみに、無造作に使えそうな あのサファリは、かなり長い。ジーンズのポケットでは折れそうだ。
いつも サファリ は結構大事に扱ってしまう。
さて、インクフローの良い万年筆が好きな私の所有するボーテックスFニブの1本は、インクフローが渋い。
パイロットの万年筆にはフローの良いものが多い印象だが、これは渋い。
万年筆は、その製造工程やパーツ保護のために、新品の状態では 剥離剤などの油分が残存しています。
これらは、水性の万年筆インクをハジきます。
従って、初めてインクを入れて、使い初めはインクフローが はかなげだったりします。
しかしここで投げ出してはいけません。
むしろ、ペリカンのロイヤルブルーのインクなどで 幾度かの試し書きと洗浄との憂き目にあった万年筆の方が、使い初めから調子が良かったりも。
意外に気付かない 試し書きのささやかな副作用だったりします。
新しい万年筆を買うと、まず入念に洗浄して 水分を乾燥させてからキチンとインクを入れる人もいます。
私はその時間は待てないので、すぐにインクを入れてしまいます。カートリッジなら大抵 帰路で装着。そのまま使い続け、カートリッジを早めに交換。その頃にはインクの出方は安定してきます。
回転吸入式なら少なめに吸入して、使いながら残ったインクを早めに捨ててしまいます。これを何度か繰り返す。
インクで洗い流す派。
FニブしかなかったのでFを選択した。使っているうちにフローは少しだけ上がって行く。
というより、その万年筆本来の固有のインクフローになってゆく。この時点が万年筆のスタートライン。購入直後は本来のパフォーマンスを発揮していない。
アメリカ人は、レジで延々と並んでいても、誰も文句など言わない。
クーポン券など取り出して平気でお喋りしていたりする。
対して、日本人は、レジで待つ事ができない。
キレて大声を出すのは大抵おじさん世代だったりする。
ジャパニーズ コンビニの与えた影響ではないか と。
(アメリカでも都市部ではひょっとすると変わらんかも知れん。ニューヨークには行った事がないので、不明。)
しかしながら、消費者(顧客)というモンスターは、かくもワガママなものかと思う今日この頃。
ヘタをすると、顧客に会社が潰されてしまう。
話しが逸れた。
が、まだ渋い。個体差か?
私が購入した店には、ブラックの万年筆はFニブがこの1本しかなかった。
複数本あったならルーペで検品するのだが、これだけポップなデザインで黒以外の選択肢は考えられなかった。
Fニブを探してもう1本買って試してみるつもり。
Mニブも1本欲しい。
と いえるのもこの価格なら可能なハナシ。
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コメント
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よくよく調べてみると、前記4色の他に
透明オレンジ
透明ピンク
透明パープル
透明ブラウン
が存在し、8色展開でした。
在庫管理が大変そう....。
投稿: Hagy | 2010年6月23日 (水) 10時58分