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2010年5月

2010年5月26日 (水)

パイロット E300 / 綴じ手帳と SCRIPTニブ ・ ペン先の個性を引き出す

パイロットの旧い万年筆
E300
 
 
パイロット E300 / 綴じ手帳と SCRIPTニブの相性 
ペン先の刻印は

SCRIPT
PILOT
14K-585

首軸に埋もれて

MADE IN JAPAN

らしき文字。

ハート穴は 角の丸い長方形

ニブの根元付近に 微笑みをたたえた口唇型の空気の取り入れ口

この 俗にいう【爪型】のニブを裏から見ると、ペン芯をカバーしている首軸先端付近にも空気取り入れ口があります。
(実はもう一ヶ所 空気穴があるのですが、のちにこれが問題に。)

あの エリートS と基本構造は同じと考えられます。
ニブの顔色・刻印のフォントから見ると、こちらが先行モデルのようです。
(私の所有するエリートSは、14Kニブで後期のモデルのようですので、近いうちに初期の18Kニブと比較検証してみます。)
 
 
 
 
フーデッドニブ(ペン先をほとんどカバーしたタイプ)は非常に実用的で性能が高いが、反面 楽しさには欠ける。

爪型のニブは、その実用面の性能の高さと ペン先が見えるというささやかな楽しみも与えてくれる。

この万年筆を使っていると、パイロットが万年筆のインクフローをどのように考えているのか、その一端を垣間見る事ができるような気がする。
 
 
 
 
軸は エリートS よりやや太目で見た目より重い。手によく合う。
首軸の樹脂は肉厚でしっかりした造りに感じられる。
 
 
 
首軸の最も太い部分のφ比較

あのエリートSが 11.4mm

このE300は 11.4mm

ありゃりゃ。同じだ。(汗)
指先の感覚は時として曖昧なようだ。ショートとロングの首軸の形状処理に視覚的に騙されている。
(エリートSのキャップに E300 の首軸がぴったり収まる。ストロークが違うので、逆は不可。)
 
 
 
パイロット E300 / 綴じ手帳と SCRIPTニブの相性 
インクの吸入は、当方所有のモノは吸入式。カートリッジ式のモノも平行して存在していたようだ。あのダブルスペアが存在した時代。
(これを見た時に、ややこしいので、保護するか正直迷った。)

吸入機構は ノブ フィラー式 と呼ばれている。
現行品のコンバータ CON-20 (プッシュ フィラー式 で良いか?)と同様に内蔵のゴムサックで吸入するタイプ。
CON-20 は金属プレートを介して中のゴムサックを直接指で押し潰す。
E300のこれは後端のグレーのノブを倒すと、中の板バネがゴムサックを押し潰す。
その状態でインクボトルに首軸まで入れて、ノブをゆっくりと戻すとインクが吸入される。

カートリッジ式の首軸にこの【コンバータ】が差し込んである状態であります。

結果としてカートリッジ式よりこちらの方が良かった。(…と 思っていた。)

このコンバータを構成している金属のカヴァー(←あえてカヴァー)には 良い金属を使っている。肉厚で重量感がある。鍍金も良い。40年の年月を越えてもサビひとつない。

重ければ良いというワケではないが、見た目には軽そうに見える印象を裏切って、意外に重くて良い。ちょうど好みの良い重量とバランス。
(パイロットの万年筆は、この時代からずっと重量バランスが軸の中央付近にくる ニュートラルなチューンを良しとしているようだ。
キャップをしない状態で。)
 
 
パイロット E300 / 綴じ手帳と SCRIPTニブの相性 
キャップは当時の流行だった、アルミのアルマイト処理。
で軽い。

見た時に好き嫌いが分かれるだろうが、私は好き。(昔は好きではなかったが....。)

軸が適度に重く、キャップが軽いのですね。

例えていうと
・ペリカンのトレド
・セーラーのグランザス
みたいなカンジ。

……クラスが違いすぎますが....。
 
 
 
駆体のデザインは、当時の流行もあるのだろうが… 見た目から明らかに2桁モンブランの74あたりの影響かと。
バネ式のクリップだけは真似ではないと自己主張しております。
天冠部を斜めにスパッ と切り落としたりとか。

誰の目にも決して高価には見えない旧くさいデザインも、今の私にとってはアバタもエクボ。
 
 
 
 
 
今年も もう5月が終わろうとしている。
今年のメインの手帳として完全に定着した 能率手帳ゴールド小型。

まだ完全に使いこなせてはいないが、来年もこれで行く予感。
(小さいのだが、意外に情報収容能力があるのだね。
サブで用意した手帳のいくつかが ほとんど機能していない。)

常時携帯の小型の手帳であります。サイズは5×3の情報カードがぴったり収まるサイズ。
これもなかなか便利。

この手帳に一番マッチする筆記具はやはり ボールペン でしょうか。
私は、LAMY 4色B.P のグリーンをパイロットの BRF-8EF に変更している。
これは黒インクの極細のボールペンリフィルなので、紙質によっては刺さる(切れる?)くらい鋭い。
(鋭い極細字のB.Pリフィルだが、D型でこれほど快適な極細油性ボールペンリフィルを他には知らない。)
しかし 能率ゴールド小型 は、紙表面はなめらかで強靭。
全体にコシがあって、手帳の紙束が全員で気持ち良くこの細いB.Pリフィルを跳ね返すのだね。この弾力がまた 魅力。
決して食い込んだり へこんだりしない。

クリップボード(厚い紙製のモノ。プラスチック製は不可)に 紙をクリップして、
BiCの4色B.Pの1.0や、パイロットの スーパーグリップ 1.2 やら 1.4 やらでグリグリと書くのと同じくらい気持ち良い。
(パイロットのスーパーグリップの太字は、スタッフにも好評でしたね。)

ジェットストリームをはじめとする新興勢力低粘度インク群団は、この気持ち良い『グリグリ感』が無いので、ストレス解消には向かない。
 
 
 
それはそれとして、私的には手帳もできる限り 万年筆で書きたい。
どれでも良いといえば良いのだが、考え込むとこれがなかなか難しくなる。
そこがまた楽しいのだが。 
 
 
私は基本的にプラチナの極細・細字・細軟の万年筆(純正のブルーブラック)で育っているので、
この手帳にぴったりの万年筆は何本でもある。 と 思っていた。(←過去形)
 
 
 
手帳は左手持ちで書く事がほとんど。

これに、インクフローの良い万年筆で書くのは、極細や細字のペン先とはいえ 意外に気を使っていた事に気付いた。

小型の 綴じ手帳 の紙面は やや浮き上がり気味になりやすい。
インクフローの良い万年筆は、ペン先が紙面に触れたか触れないか くらいで文字が書けてしまう。
浮き上がった紙にフワフワと文字を書くのは、気持ち良いというものでもない。

そこでこの SCRIPTニブだ。
このニブで書くと、綴じ手帳との相性が抜群である。

このSCRIPTニブは、少し筆圧を掛けないとならないので、はじめはのうちはインクフローが良くないのかと思っていた。
スリットはギッチリ締まっている。

しかし、ペンの自重だけで、極細の線が引ける。
決してインクフローが悪いわけではないのだ。

少し筆圧を掛けると、細字の線が引ける。
しっかりと筆圧を掛けると、中細字の線が引ける。

このSCRIPTニブで 綴じ手帳に書くと、私にとってちょうど良い細字で筆記できる。
やや浮き上がった紙面を押さえながら、ちょうど良い安定した一定の線幅になるのだ。

様々なシーンで考慮すると、綴じ手帳と最も相性が良いのは油性ボールペンでしょうが、今回の SCRIPTニブ付きパイロットE300 でまたひとつの最高の組み合わせが出来た。

万年筆の固有の筆記特性や個体差を考えて、インク・紙・使用状況の最高の組み合わせができると楽しい。

使用インクは 純正のブルーブラック
 
 
 
 
しかし、40年モノである。
しかも、ゴムサック式。

幸福な時間は、長くは続かない。

トレドがスーベレーンになった。(クラスが違うが)

長くなったので、次回につづく
 
 
パイロット E300 / 綴じ手帳と SCRIPTニブの相性 
記念撮影は、左から能率手帳ゴ-ルド小型とE300。大きさ比較にパイロットカスタム742・プラチナ22と。

2010年5月12日 (水)

SCRIPT の考察と定義(と妄想) / 万年筆の スクリプト というペン先

パイロットの旧い万年筆のペン先に SCRIPT というペン先がある。

その意味するところが明確ではない。
現行品のペン種には存在しない。
 
 
 
 SCRIPT の考察と定義(と妄想) / 万年筆の スクリプト というペン先
写真は1960年代後半から1970年代前半あたりに存在したと思われる PILOT の万年筆 E300
SCRIPTニブ付きであります。

SCRIPT の考察と定義(と妄想) / 万年筆の スクリプト というペン先横顔は「ELITE」の血統。
(男性向けだけでなく、女性向けのショートボディのモデルにまで同時期にSCRIPTニブは多数存在した。)

以下は私の勝手な推測。

結論
・ポスティング POSTING は 主に帳簿用途の硬筆ニブ 『極細』
・スクリプト SCRIPT は 一般筆記用硬筆ニブで 『細字』、
・マニフォルド MANIFOLD は カーボン複写紙に使用可能の超硬筆の 『中字』
※そしてあくまでこの分類はパイロットの万年筆にのみ適用される。
 
 
 
 
以下 考察(というより妄想。こんな妄想も暫く私を楽しませてくれる。)

・【SCRIPT】は 筆記 を意味する。
スクリプト体 なら活字体に対する 筆記体 の事ですね。

ペリカンのスーベレーンM800をベストに選出したあの雑誌は【SCRIPTUM】(←『筆記具』という意味ではないだろうか。)

このペン先は非常に硬く出来ている。
(エリートの血統には 硬めのペン先が多いが....。)

近い種類と思われるニブに MANIFOLDニブ がある。
MANIFOLD ニブは カーボン複写紙用の超硬筆ニブ。 といわれていますが、ここにも少々の疑問が。

MANIFOLD は、名詞なら本来は別の意味を持ち、【(カーボン紙で)複写する】という意味を持たせるなら動詞のハズなので、ニブの刻印として正しいかどうかが疑問。和製英語なのか?

参照の辞書は、時代を考慮して '73年改訂版のモノ。これより旧い辞書があれば良いのだが、身近にはない。
(私はネイティブの語感を持っていないので、ここはネイティブの知人に確認が必要だ。)

SCRIPTニブ で 実際に書いてみると、特別に 【筆記体用】 といえる感じではない。。。
 
 
 
 
'70年頃には「キーパンチャー」という職業が確立していた。

活字で書類を作成する仕事だったらしい。
その機械は子供には見上げるような
アップライトピアノを巨大にしたような(パイプオルガンほど大きくはない)機械でありました。
重厚で荘厳な黒い鉄製の大きな機械。
はじめて見た時 その存在に圧倒された。

英文タイプライターは基本的に 26文字+α で全て表現出来る。
(現在のPCのキーボードの非効率な QWERTY配列 は、英文タイプライターの配列の名残りである事はみなさんご存知の事でしょう。)

ゆえに小型化が可能。

対して ひらがな、カタカナと漢字を使う日本語タイプライターは小型化できずに 超巨大でありました。

とても一般家庭に普及するシロモノではない。

しかしパイロット社は、60〜70年代初頭にあまりにも早く、いづれ活字文化がやって来て、手書き文化は衰退する……と考えたのでは。

そして 筆記用 という意味の SCRIPT を選んだのではないだろうか。
(MANIFOLD は 多用途 という意味に取ることができる。一般筆記とカーボン複写用との【多用途】。
さすがに 細字 では心許ない。よって 中字 の設定)
 
 
SCRIPT の考察と定義(と妄想) / 万年筆の スクリプト というペン先 
写真はパイロットのE300と同時代の消しゴム。
タイプ用 520 である。
並べてみると 非常に良く似合う。
キーパンチャーの機械の繰り出す活字は油性インクのような気もする。カーボンなら消えるでしょうが。
『タイプ用』の意味するものが同じかどうかはわからないですが。日本語タイプライター用?

『ひのでむかいどり』ブランド
田口ゴム工業所謹製。
プラスチック消しゴムが普及する以前のもの。
練りゴムと書いてある。デッサン用の練り消しゴムに似て柔らかい材質。

(天然ゴム系消ゴムのトップブランドの田口ゴム工業所は過日 消しゴム事業から撤退した。時代は移り変わって行きます。
一方、最近 元気の良い大手メーカーから、天然ゴム系消ゴムが多くリリースされている。復権の兆しあり。
時代は巡って来るのか。)

ペン先をルーペで見比べているうちに、このE300の SCRIPTニブ の表情に惚れ込んでしまった。
現行品の一分の隙もない艶やかな顔に対して、表情がある。
刻印の深さも味わい深い。
 
 
 
 
 
京橋にいけば全てわかるかと思ったが、しかし 復活した フォルカン の綴りや語源ですらハッキリしないらしい。

1930年頃には特殊ペン先を作り上げたというさすがのパイロットも、過去の資料が全て残っているわけではないらしい。
京橋の展示資料(実際には拝見していないが....)の少なくとも一部は、一旦放出し 後年になって文具店から回収したモノ達であるらしい。

'60年代後半頃から現在に至るまで ペン先に製造年月を刻印するパイロットは、世界的にみても良心的な企業かもしれない。
 
 
 
E300 は、ベストな使用環境を見つけた。
これはまた別の稿に。

スクリプトを調べて徘徊していたら、1本のニブが目に焼き付いて離れない。
それは、プラチナのスクリプトニブだ。

これは 細字 ではない。。。

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